一生 人を勇気づけた紙切れ

ある数学教師が、数学の勉強に疲れた教室のメンバーの雰囲気を変えるために、2枚の紙を配った。

 

クラス全員の名前を書き、一人一人の「一番いいところ」と思うことを書いてもらった。

 

その日の授業はすべてそれに費やして、先生は生徒がお互いに書いた内容をリストにして、一人分ずつ1,2枚の紙にまとめて、次の授業で生徒に渡した。

 

やがて教室中が笑顔でいっぱいになった。

 

その後、この紙が教室で話題になることは無く、みんな卒業して数年が過ぎた。

 

 

 

ある年、休暇から帰ってきた数学教師を、一人の生徒の両親が迎えに来た。そして息子がベトナムで戦死したことを伝えた。

 

告別式は次の日であった。

 

棺を担いだ軍人が教師に近づいてきて囁いた。

「マークはしょっちゅう、あなたの話をしていました」と。

 

それからマークの父親が2枚のボロボロになったノートの切れ端を筆入れから出してみせた。

 

教師はそれがクラスメート全員が書いたマークのいいところのリストであることは紙を広げなくとも分かった。

 

マークはこれを宝物のように大事にしていた。

 

周りに集まったクラスメート達も、みんな大事に取ってあると言った。

それからボロボロになったリストを「肌身離さずに持っています。みんな大事に取っているはずです。」とも言った。

 

教師は、その場に座り込み、声をあげて泣いた。

 

  

求心力―人を動かす10の鉄則

求心力―人を動かす10の鉄則

 

 

*昨日の記事を書いて、以前に大学院のクラスで紹介されたこのストーリーを思い出した。