Are you hungry?

あなたは飢えていますか?

 

これまでの人生の中で「ハングリー精神」という言葉に触れる機会は何度かあったと思います。私もどのようなシチュエーションかはあまり覚えていないのですが、部活動の監督か、もしくは営業の上司から言われたことがあったかもしれません。

 

私はこれまで「ハングリー精神」という言葉は「何事に対しても貪欲に取組む姿勢」という解釈をしていていましたが、少し誤った認識をしていたかもしれません。

 

 

マズローの欲求5段階説」ってありますよね。

人間の欲求は5段階で構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというものです。下記のような階層になっています。

第五階層「自己実現欲求」:自分の能力を開花させたい。創造的なことがしたい

第四階層「尊厳欲求」:周りから認められたい、尊敬されたいという欲求

第三階層「社会的欲求」:社会的集団に属したいという欲求

第二階層「安全欲求」:安全・安心な暮らしがしたい

第一階層「生理的欲求」:生きていくための本能的な欲求(食べる、寝る)

 

「ハングリー」という言葉はその英語の意味の通り「空腹」。過剰な表現をすれば「飢餓状態」です。このマズローの欲求5段階説で言えば第一階層に当てはまります。

 

私が気づいたのは各階層の欲求を満たすための「エネルギーレベル」です。

「食べたい。食べなければ命が無い」という切迫感の中で、その生理的欲求を満たすためにギラギラと本能的に活動をするエネルギーと、「自分のスキルをどんどん高めて、世界に貢献していきたい」という自己実現欲求を満たすためのエネルギーでは質や大きさが違うのではないかと思います。

 

ですから「ハングリー精神」とは、「何事に対しても貪欲に取組む姿勢」や、「負けず嫌い」「気合」、「根性」いうようなありきたりな精神論で表現できるものではなく、「欲求が満たされず飢餓状態にあり、命をかけてでもその状況を打破しようとする強い意志」なのだと思います。  

 

かつて戦後の日本が高度経済成長を実現できたのは、いろいろな物に飢えている状況のなかで、国民がみなその状況から抜け出そうと「ハングリー精神」をもって懸命に頑張ったからなのでしょう。それに比べると、現代の日本は国自体が豊かになって国を包む雰囲気自体から「ハングリーさ」が失われつつあるのかもしれません。なんとなく不景気になると国や環境のせいにしてしまいがちですが、実は自力でなんとか脱出しようとする「ハングリー精神」がもっと必要なのでしょう。

 

↓は、有名なスティーブ・ジョブス氏の伝説のスピーチです。

(右下のCaptions というところから日本語の字幕設定が可能です。)

最後に「Stay hungry,Stay foolish」というメッセージがありますが、死生観を強く持っていたジョブス氏の「ハングリーさ」に対する強い意志が込められていたと改めて認識しました。

 

このスピーチは何度聞いても深い。私は「安定」に埋もれてしまっている。これからはもっと「ハングリー精神」を意識してかなければ。