ニートが集まる「NEET株式会社(仮称)」は成功するか?

インターネットを見ていたらこんな記事が目に飛び込んできた。

「ニート」全員が取締役となり、会社を立ち上げるというプロジェクトが進行している。会社名は「NEET株式会社(仮称)」。彼らは全員、現在は職に就いていない、いわゆるニートだ。10月30日には、会社定款の委任状に立ち上げメンバーが押印した。取締役として参加するニートは170人超。11月21日に登記して正式な会社発足を目指す。

http://thepage.jp/detail/20131106-00000007-wordleaf

 

上司も部下もなくみんながフラットな関係で、全員でアイデアを出し合って事業を立ち上げる。とても素晴らしいことだと思う。

 

日本にはニートが60万人いると言われているが、働いていない理由は人それぞれだ。事情があって働くきっかけを掴めなかったり、あるいはたまたま最初に入った職場に適応できず、やめてしまった人達もいるだろう。だからと言って、その人達が能力に欠けていたり、働く気がないのかといえばそれは違う。

 

そもそも人はなぜ働くのだろうか。

 

お金のため、生活のため、地位や名声、権力を手に入れたい、自分を成長させたいなど理由は人それぞれだと思う。でも忘れてほしくないのは、働くことによって「社会」につながって「社会」に貢献し、「社会」に足跡を残しているということ。みんなが働いて、支えあうことによって国、社会、私たちの暮らしが成り立っているのだ。

 

プロスポーツ選手は、自分のパフォーマンスで人々に感動を与える。

お笑い芸人は、世の中のみんなを楽しませる。

警察官は人々の生活が危険にさらされないよう安全を守り、消防士は火災という一大事に備え、そして救助活動を行う。

銀行や証券会社で働く人は、世の中のお金が不足している人と、お金を運用したい人を結びつけるのだ。

 

どんな仕事も人々の役に立ち、社会に貢献している。そしてその対価として報酬を得る。働くということは、社会とつながるための行為だ。それが働くことの根源だと思う。

 

でも人間はどうしても自分を他と比較したがる生き物だから、報酬や労働環境を比べ、より良い条件のものを選びたがる。良い条件の仕事を手に入れるために、良い高校へ行き、良い大学へ進学を目指す。そして良い条件の会社へ入るため、大学の勉強も半分そっちのけで、早くから就職の準備をして面接用の自分を演じる。この流れが今のこの国の就職戦線というやつであり、私もその流れで社会へ出た。(私は今の会社に入ったことに何一つ後悔はしていないし、担当している仕事も大好きだが)

 

ひとつ言えるのは、もう少し「働く」ということに対して、学校や家庭で教育というか、予備知識を与えられる環境があればよいなぁと思う。予備知識もなく、なんとなく大学4年だから就職活動をしてみんなと同じタイミングで会社に入る。そんな横並び意識は本当は必要ないと思うし、多様性が進んでいる時代だからこそ、画一的な就職制度に馴染めずに、就職戦線から離脱してニートになってしまう人がいるのだと思う。みんなが競争が好きかといえばそれは違うのだから。

 

話は戻るが、この「NEET株式会社(仮称)」の記事のみんなの集合写真。みんな笑顔で充実しているというか、「やってやろう」という雰囲気が出ている。きっとコミュニケーションが上手くなかったり、上下関係が嫌いだったりとこれまでの働き方には馴染めなかった人もいるだろう。でも新たに「社会」とつながるきっかけを掴みいきいきしているように見えるのは私だけであろうか。

 

これから彼らが進んでいく道には、きっと大きな山があり、深い谷もあるだろう。仲間と喧嘩をするだろうし、打ち出した事業が世間に受入れられないこともあると思う。しかし、少しづつでもその道を進もうと努力することが「社会」と繋がり、足跡を残しているという証なのだ。

 

新しい働き方のスタイル。心から応援したい。