クラウドファンディングの未来

日本にはまだ馴染みの薄いビジネスであるクラウドファンディングに注目しているのですが、将来性はどうなのでしょうか?世界のクラウドファンディングの市場規模は5,000億円規模であるものの、日本はまだ82億円と規模は小さく知名度が低いのが現状です。

 

クラウドファンディングとはインターネット上に様々なプロジェクト案件を掲載し、閲覧している個人ユーザーから資金を調達する、新しい資金調達のモデルです。
一般的に、ファンディング(=資金調達)を行う場合、資金調達をしたい企業と投資家の間に銀行や証券会社が入りお金を融通させます。よく銀行は間接金融、証券は直接金融などと言いますが、これが金融の機能ですね。


しかしクラウドファンディングの場合は、金融機関を通さずネットを通じてダイレクトに資金調達をしたい企業と個人(クラウド=群集、雲ではありません。)をつなげるものです。

 

 

ここまでのクラウドファンディングの主流は、規制もあるため純粋なリターンを求めるような出資や融資などの「投資型」ではなく、資金調達する企業が入ってくる資金をもとに商品等を作り、その財を事前予約購入の形でお金を募る「購入型」というスタイルと、復興支援や何かのプロジェクトを達成するために純粋にお金を募るだけの「寄付型」というスタイルでした。

 

しかし世界では、欧州や米国ではインターネットを通じて未上場企業の「株式」へも投資が可能になってきています。日本においても現在、その議論が金融庁を中心に進められていて近い将来、未上場企業への株式投資の制限が緩和される可能性が高いと考えられます。政府が前向きに検討している理由はやはり「第三の矢」の推進でしょう。成長産業の育成です。


もともと日本には、米国のGooglefacebook、Amazonのようなメガベンチャーがなかなか育っておらず、その課題の一つとして、日本のスタートアップ環境の悪さが挙げられます。ベンチャー企業が最初から銀行融資を受けることは難しいですが、本来この分野で最も存在感を発揮すべきベンチャーキャピタルも、小口分散であまりリスクを取らないところが多いです。インキュベーションやシードアクセラレータは増加傾向ですが、こちらも十分な規模とは言えません。ただその根本は、そのようなリスクのあるオルタナティブ分野にまだまだお金が流れていないことが問題なのかもしれません。

 

資金が無ければ会社は存続できません。起業してから成長に乗る前の、いわゆる「死の谷」を越えられず資金不足になり倒産してしまう。そんな企業が多いです。ですからこの問題を改善させる役割をクラウドファンディングは期待されているのだと思います。

 

ただし普及には、クリアしていく課題が多いのも事実です。

・株式投資となればリスク説明はどうするのか?

・対象企業は未上場であるが情報開示の頻度や、内容はどこまで必要か?

・報告される内容の確かさは大丈夫か?誰が担保するのか?

・セカンダリー市場の発展が必要ではないか?

など色々と考えられるでしょう。

それから、1社のファンディング規模は小さく、一人あたりの投資金額も抑えられるため、果たして管理コストに見合った収益を仲介業者は得られることが出来るかどうかについても成長の鍵を握る要因です。

 

新しく始まるサービスや産業に対してどうしても批判的な意見もきっと多くでるでしょう。「投資家保護の点で大問題だ!」なんてきっとでるでしょう。

しかし、あるべき姿を考えたらクラウドファンディングは悪い仕組みではないはずです。情報の非対称性を無くし、資金ニーズと投資ニーズが直接、上手くマッチングできればこんなに素晴らしいことはないでしょう。ベンチャー企業への投資はリスクが大きいのは事実ですが、リスクとリターンを確りと理解し、自己責任の上で行われるものであれば、認められるべきでしょう。

 

想定される壁が高ければ高いほど、乗り越えたときのリターンは大きいはずです。だからこそ挑戦しがいのあるビジネスのように感じています。